ご家族向け

退院後に自宅で療養するための準備リスト

退院が決まってから自宅での療養が軌道に乗るまで、確認すべきことをリストにまとめました。

退院後の在宅療養がうまく立ち上がるかどうかは、退院してからではなく、退院が決まった時点で何を決めておいたかに大きく左右されます。医療の引き継ぎ、自宅の環境、サービスの組み立て、そして緊急時の連絡先。この4つを退院前にそろえることが準備の中心です。

  • 退院前カンファレンスで医療・介護・住まい・お金の4領域を確認します
  • 薬、医療処置、書類の引き継ぎは退院前に文書で受け取ります
  • 訪問診療・訪問看護・ヘルパー・福祉用具は退院日に間に合うよう手配します
  • 退院からの1週間は体調が変わりやすい時期。連絡先を紙で貼っておきます
積雪した北海道の住宅街の道路
退院後にいちばん抜けやすいのが、薬と処置の引き継ぎです

結論:退院前に決めておくべきことは何ですか?

ご家族からよくうかがうのは、「退院と言われたが、家で何をどうすればよいのか分からない」というお困りごとです。病院の中では看護師がしていたことを、自宅では誰かが引き受けることになります。

準備は次の4つに整理できます。

  1. 医療:どの医師が診るか、薬と処置をどう続けるか
  2. 介護:誰がどのサービスをいつ入れるか
  3. 住まい:ベッド、手すり、動線、トイレと入浴
  4. 連絡:困ったとき、誰にどの番号へ連絡するか

このうち、退院後に手戻りが起きやすいのは1番と4番です。医療の引き継ぎが文書で残っていないと、退院直後の体調変化に対応しにくくなります。

退院前カンファレンスで確認すること

退院前カンファレンスとは、退院に向けて、病院の医師や看護師、医療ソーシャルワーカー、ケアマネジャー、在宅医、訪問看護師などが集まり、自宅での療養方針を共有する話し合いです。ご本人とご家族も参加できます。

限られた時間で全部を確認するのは大変です。次の表を印刷して持参し、埋まっていない欄をその場で聞く、という使い方をおすすめします。

退院前カンファレンスの確認項目
領域確認すること
病状の見通し今の状態、これから起こりうる変化、悪化のサイン、してはいけないこと
主治医退院後は誰が主治医になるか。病院の外来はいつまで続けるか
退院時の処方、何日分あるか、次はいつ誰が出すか、中止した薬
医療処置自宅で続ける処置、誰が行うか、材料はどこから入手するか
医療機器在宅酸素・吸引器などの手配、停電時の対応、業者の連絡先
食事食形態、水分の制限、とろみの有無、栄養補助食品
リハビリ自宅で続けること、通所か訪問か、注意点
介護サービス訪問看護・ヘルパー・デイ・福祉用具の内容と開始日
住まいベッドの位置、手すり、段差、トイレと入浴の動線
費用医療費と介護費の見込み、高額療養費などの制度、窓口
緊急時どんなときに誰へ連絡するか、救急要請の目安、搬送先の考え方
意思決定ご本人の希望、ACP/DNARの方針、代わりに意思を伝える方

自宅環境の準備(介護用品・住宅改修)

自宅の環境は、ご本人の動きに合わせて整えます。すべてを一度にそろえる必要はありません。ベッドまわり、トイレ、入浴の3か所から手をつけると、生活が回りはじめます。

退院前に検討することが多い介護用品・住宅改修
場所検討するもの相談先
寝室介護用ベッド、マットレス、ベッド柵、床ずれ防止用具ケアマネジャー・福祉用具事業者
居間・廊下手すり、段差の解消、滑り止め、動線上の荷物の整理ケアマネジャー・住宅改修事業者
トイレ手すり、補高便座、ポータブルトイレ、夜間の照明ケアマネジャー・福祉用具事業者
浴室手すり、シャワーチェア、浴槽内のすのこ、暖房ケアマネジャー・訪問看護
移動歩行器、車いす、スロープ、玄関の段差ケアマネジャー・理学療法士
連絡電話機の位置、緊急連絡先の掲示、見守りの機器ケアマネジャー・地域包括支援センター

※ 介護保険の福祉用具貸与・住宅改修には要介護認定と手続きが必要です。内容と自己負担は、担当のケアマネジャーにご確認ください。

医療の引き継ぎ(薬・処置・書類)

ここがいちばん抜けやすい部分です。口頭ではなく、紙に残っている状態で退院することを目指してください。

薬の引き継ぎ

  • 退院時の処方が何日分あるかを確認します
  • 次の処方を誰がいつ出すかを決めます(在宅医か、病院の外来か)
  • 入院中に中止・変更になった薬を一覧で受け取ります
  • かかりつけ薬局を決め、一包化や配達が必要かを相談します
  • お薬手帳を更新し、家族が見られる場所に置きます

医療処置と医療機器

  • 自宅で続ける処置(褥瘡の処置、カテーテルの管理、点滴、経管栄養など)の手順書をもらいます
  • 誰が行うかを決めます(ご家族、訪問看護、施設の職員)
  • 必要な材料の入手ルートと、なくなりそうなときの連絡先を確認します
  • 在宅酸素や吸引器などは、停電時の対応と業者の連絡先を控えます

書類の引き継ぎ

  • 診療情報提供書(紹介状):入院の経過と治療内容が書かれた、在宅医への引き継ぎ文書です
  • 看護サマリー:日常のケアの内容が書かれています。訪問看護に渡します
  • 訪問看護指示書:訪問看護を利用する場合に必要です
  • 主治医意見書:介護保険の要介護認定に用います(申請中の場合)
  • 検査結果、画像のデータ、退院時の処方内容の写し
在宅医への引き継ぎは早いほどスムーズです

診療情報提供書が退院日に間に合わないと、在宅医は限られた情報で初回の診察をすることになります。退院が決まった段階で、病院の地域連携室へ「在宅医あての紹介状をお願いします」とお伝えください。

サービスの組み立て

在宅療養は、ひとつのサービスで支えるものではありません。役割を分けて、ご家族の負担が一点に集中しないようにします。

退院後の在宅療養を支える主なサービスと役割
サービス主な役割保険の区分
訪問診療計画的な定期訪問による診察、処方、医療処置、看取り医療保険
訪問看護処置、清潔ケア、状態の観察、医療機器の管理、家族への指導医療保険または介護保険
訪問介護(ヘルパー)身体介護、生活援助介護保険
通所介護(デイサービス)日中の活動、入浴、他者との交流、家族の休息介護保険
訪問リハビリ・通所リハビリ身体機能の維持、生活動作の練習介護保険または医療保険
福祉用具貸与・住宅改修ベッド、車いす、手すりなどの環境整備介護保険
居宅療養管理指導医師・薬剤師等による療養上の管理と指導介護保険
短期入所(ショートステイ)介護をするご家族の休息、体調不良時の一時的な受け入れ介護保険

※ 利用できるサービスと自己負担は、要介護度、医療保険の区分、病状によって異なります。組み合わせは担当のケアマネジャーとご相談ください。

退院当日から1週間の流れ

退院してからの数日は、ご本人にとっても環境が大きく変わる時期です。おおよその流れを知っておくと、慌てずに済みます。

  1. 退院当日

    移動と環境の変化で疲れが出やすい日です。無理に予定を入れず、休息を優先します。薬の置き場所、ベッドの位置、トイレまでの動線、緊急連絡先の掲示を、この日のうちに整えます。食事と水分がとれているか、排尿があるかを確認します。

  2. 退院1〜3日目

    訪問看護や訪問診療の初回訪問が入る時期です。実際の生活に合わせて、処置の手順やサービスの時間帯を調整します。夜間の様子、睡眠、痛み、排泄の状況を記録しておくと、相談がしやすくなります。

  3. 退院4〜7日目

    入院中との違いが表面化しやすい時期です。食事量の低下、便秘、不眠、日中の傾眠などが出ることがあります。気になる変化は、次の訪問を待たずにご相談ください。薬の残りの日数もこの時期に確認します。

  4. 2週目以降

    サービスの組み合わせと訪問の頻度を見直します。ご家族の負担が一点に集中していないか、休息がとれているかも大切な確認項目です。必要に応じて、訪問看護の回数やショートステイの利用を検討します。

つまずきやすい5つの落とし穴

  • 薬が足りなくなる:退院時の処方が何日分かを確認し、残り7日を切る前に連絡します
  • 紹介状が届いていない:在宅医が経過を把握できません。退院決定時に依頼します
  • サービスの開始が退院日に間に合わない:手配には日数がかかります。早めにケアマネジャーへ
  • 介護をする家族が休めない:初週で疲れ切ると続きません。分担と休息を先に設計します
  • 緊急時の連絡先が分からない:紙に印刷して電話機のそばに貼ります

夜間の体調変化については、夜間の急変、救急車を呼ぶ?在宅の判断目安で、救急要請と在宅医への連絡の使い分けを表にまとめています。

旭川・道北で退院支援を受けるとき

北海道では、入院していた病院とご自宅が離れているケースが少なくありません。名寄市や上川管内の町から旭川市の病院へ入院し、退院後は地元に戻るという流れも一般的です。

この場合、退院支援の窓口(病院の地域連携室)と、地元の在宅医療の資源を、早い段階でつなぐ必要があります。地域によっては選べる医療機関が限られるため、退院の直前に探し始めると間に合わないことがあります

また、冬の退院では、自宅までの道路状況、玄関前の除雪、暖房の準備も確認が必要です。詳しくは北海道の冬、高齢者の通院はなぜ大変かをご覧ください。

当院は旭川市を中心に、名寄市や上川エリア(道北)へ伺っています。入院中からのご相談も承ります。病院の地域連携室・退院支援の担当者からのご連絡はケアマネジャー・医療機関の方へをご覧ください。その他の北海道内も、ご住所・病状・道路状況・診療体制をふまえて個別に判断します。

この記事のよくあるご質問

退院してから訪問診療を探しても間に合いますか?

間に合わないわけではありませんが、退院が決まる前の段階でご相談いただくほうが、準備を無理なく進められます。契約、同意、診療情報の受け取り、初回訪問の日程調整に時間がかかるためです。入院中でもご相談いただけますので、病院の地域連携室や退院支援の担当者を通じてご連絡ください。ご家族から直接お電話いただいても構いません。

退院前カンファレンスには家族も出たほうがよいですか?

できるかぎりご参加ください。自宅での生活を実際に支えるのはご家族だからです。病院側の想定と、ご自宅の実際の環境や介護の体制にはずれが生じることがあり、その場で確認できると準備がしやすくなります。遠方にお住まいの場合は、電話やオンラインでの参加を相談できることがあります。担当の医療ソーシャルワーカーへおたずねください。

退院直後に体調が悪くなったらどうすればよいですか?

退院してから1週間ほどは、体調が変わりやすい時期です。訪問診療を開始していれば、まず当院へご連絡ください。状況をうかがったうえで対応方針を判断します。ただし、意識障害、強い呼吸困難、突然の麻痺、大量出血などは119番を優先してください。退院前に、どのような症状のときにどこへ連絡するかを決めておくと安心です。

まとめ

  • 準備の柱は医療・介護・住まい・連絡の4つです
  • 退院前カンファレンスでは、薬・処置・機器・費用・緊急時を具体的に確認します
  • 医療の引き継ぎは紙で残す。診療情報提供書は退院決定時に依頼します
  • サービスは退院日に間に合うよう手配し、家族の負担を分散させます
  • 退院から1週間は変化が出やすい時期。気になる変化は待たずにご相談ください
  • 道北では、地元に戻る前提での早めの相談が特に大切です
※本記事の内容は一般的な説明であり、個別の診断・治療方針や、利用できる制度を保証するものではありません。ご利用いただけるサービスと自己負担は、要介護度・保険の区分・病状によって異なります。

記事を読んでお困りの方へ

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記事の内容は一般的な目安です。実際の症状や療養環境に合わせた判断は、医師や関係職種と相談しながら進めます。

訪問診療のご相談 0166-74-3774

新規のご相談はお電話で受け付けます(受付時間はお問い合わせください)。メールは緊急のご相談には使用しないでください。

夜間・休日は電話でご相談いただけるオンコール体制です。主治医への直通や訪問を保証するものではありません。緊急時は119番を優先してください。詳しい連絡方法